製造業における人手不足が深刻化しています。
2017年、経済産業省が製造業の企業に対し実施したアンケートによると、94％の企業が人材確保に課題があるとし、さらに3割強の企業においてはビジネス影響が出ていると回答しています。ロボット、IoT、AIなどのデジタル技術の進展に伴う「第四次産業革命」によって、製造業のあり方に大きな変化が生じています。
この結果、製造業の人材不足は深刻化していると同様にマネジメント経験者も人材不足が顕著化しています。そこでこの記事では、製造業におけるマネジメント経験の説明と転職活動でアピールするコツを伝授します。
転職サイトの求人欄に「マネジメント経験あり」を条件としているケースがあります。しかしながらマネジメント経験を正確に理解している人は少ないのではないでしょうか？
そこで、ここではマネジメント経験の概要と具体例を解説します。
一般的にマネジメント経験は、管理職経験がないとキャリアとして履歴書に記載できないと思われがちです。しかし役職や肩書がなくても、マネジメント経験を積んでいる可能性があります。自身がこれまで携わって来た仕事を振り返り、次に紹介するマネジメント経験に当てはまるか確認してみましょう。
ここでは一般職であってもマネジメント経験となる事例を3つご紹介します。
1 スタッフの教育や指導の経験者である
新卒者や派遣スタッフに対し、受け入れ教育やOJTによる指導の経験が該当します。
2 工場で生産管理やコスト管理の経験者である
工場の製造ラインで生産管理に伴う在庫調整を経験した、あるいはコストダウン活動として部品メーカーと価格交渉等を行った経験が該当します。
3 プロジェクトリーダーの経験者である。
新製品のプロジェクトで、開発チームリーダーを経験した場合これに該当します。
ここまで、企業において求められるマネジメント経験をお伝えしました。ここでは製造業において注目される、2つのマネジメント経験の具体的な例について解説します。
生産マネジメントとは、ものづくりの本流であると言われており、予め決められた数の製品を計画的に生産する管理手法です。生産マネジメントは、以下の4つのステップからなります。ご自身の経験や経歴に当てはまるものがないか、確認してみてください。
①生産計画
生産計画では、製造する製品の納期と数量を決定します。これらの計画は市場動向を細かくチェックすることで算出します。この計画を見誤ると在庫切れや逆に余剰在庫を生む恐れがあります。従って生産計画はズレが生じないように正確な情報収集が必要です。
②調達計画
調達計画では、製品の製造に必要な資材や原材料の数量を決定します。この計画にはリスク回避としてキーパーツを複数の会社から購入することもあります。
③工程管理
工程管理では、製品の製造が合理的かつ効率的に進むように工程を組み立てます。また生産計画に応じて人材リソースの配分も決定します。なお、工程管理には日々の製造進捗も含まれます。
④品質管理
品質管理は、完成した製品の品質が保たれていることを確認する工程となります。一般的には専任の検査員が製品を多方面から検査します。
データマネジメントとは、企業が独自に持っている様々なデータをどのように運用・維持するかを検討して実行することです。データマネジメントは以下の4つのステップからなります。
①目的の明確化
出発点を間違えるとゴールを見失う恐れがあります。そこでこのステップでは目的をしっかりと見定めてから目標を決定します。
②データ収集の収集と情報の整理
ビジネスになる必要なデータを収集し、整理を行います。このステップで最も重要なことは収集したデータを後から簡単に取り出せるように管理することです。
③社内ルールの決定・周知
データの扱いに関するルールを決めた後、社内で周知します。社員の誰もがデータを適切に運用できる体制を整備します。
④ビジネスで活用
整理されたデータを活用するステップです。当初に決定した目的に沿って必要なデータをビジネスで活用します。
ご自身の経験や経歴に当てはまるマネジメント経験はありましたでしょうか？上記に当てはまらない業務や、ご自身ではマネジメント経験かどうかの判断が難しい場合には、エンジニアコネクトまで気軽にご相談ください。
求人情報の応募条件に「マネジメント経験」と記載されている場合、自分の経験が応募レベルに該当するか判断できないケースがあります。このようなケースでも迷わないように以下に企業が求めるレベルの目安をご紹介します。
この例では「ラインリーダー、製造ラインの改善経験をお持ちの方」となっています。そのため管理職経験が無い場合でも応募可能です。ただし、ラインリーダーあるいは製造ラインの改善経験として3年以上の経験が望ましいです。
▪️応募条件（例）
＜必須＞
・製造業でのラインリーダー経験、もしくは製造ラインの改善経験をお持ちの方
＜尚可＞
・ブロー成形もしくは射出成形経験のある方
この例では「生産管理もしくは工場長の経験 」となっています。工場長は管理職経験が必須となります。生産管理は一般社員でも応募可能ですが、ベテランとなり得る5年以上の経験が望ましいです。
▪️応募条件（例）
＜必須＞
マネジメント経験 生産管理もしくは工場長の経験
・普通自動車免許
・高卒以上
この例では「衣料や市場に精通 」となっています。そのため衣料系商社に勤務して10年以上の方や衣料系ショップを10年以上経営している方等のベテランが望ましいです。
▪️応募条件（例）
＜必須＞
・パソコンがある程度使える方
・人と接する事が好きな方
＜尚可＞
・衣料や市場に精通し、マネジメント経験がある方
では実際に面接でマネジメント経験をアピールするためには、どのような点を意識したらよいのでしょうか。ここでは面接時に意識したいポイントを解説します。
過去に携わった仕事を棚卸して、マネジメントスキルの実績を整理しましょう。例えば「私は製造ラインのサブリーダーとして、新卒者や派遣社員の教育係を3年間経験しました」等です。面接時には企業の応募条件に沿って自己のマネジメントスキルを話せれば良い結果が得られるはずです。
自分が持つ専門性を面接でアピールすることは良いのですが、採用担当者の専門領域ではないので独りよがりな発言にならないように注意しましょう。また、自分の実績が伝わるようにキャリアやスキルは具体的な数値で表現しましょう。
例えば「私は駆動部品の設計を担当して3年になります。この間、改善提案を8件採用されており、部品単価のコストダウンを2000万円達成しました」等です。
面接の自己PRでは企業に貢献できる点をアピールすることになります。その際、根拠をきちんと示すことで説得力が強まります。マネジメント業務から得た知識やスキルを明確にしておきましょう。
以下の記事で職務経歴書の書き方の例を紹介しています。
参考にしてみてください。
「職務経歴書の書き方」製造業エンジニア転職用マニュアル
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「転職すべきか？残るべきか？」「転職後のキャリアアップが不安」等、のご相談も製造エンジニア専任コンサルタントが親身に対応します。 皆さまが安心して活躍できるよう、就職後のサポートまでしっかり行います。
この記事では製造業におけるマネジメント経験の説明と転職活動でアピールするコツをお伝えしてきました。転職活動で成功するコツは、これまで自分がやって来たことを正しく伝えることです。企業が求める人物像に合わせて自分が得たスキルや経験を自分の言葉で説明できれば、面接官に説得力あるアピールをすることができます。
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