CAE解析とは？メリット・デメリットや求められるスキルについて徹底解説
CAE解析は、製造業界における製品検証作業を飛躍的に効率化させる技術です。
今や多くの製造現場において、欠かすことのできないものとなっています。
この記事では、CAE解析について詳しく解説していきます。
CAE解析を使うことのメリット・デメリットを整理しつつ、CAE解析エンジニアになるために求められるスキルについても紹介していきます。
CAE解析とは？
さっそく、CAE解析とはどのようなものなのか、詳しく見ていきましょう。
CAE解析とは
CAE解析の「CAE」は、Computer Aided Engineeringの頭文字をとったものです。
コンピューター上であらゆるシミュレーションを実施し、製品を検証するのがCAE解析の技術です。
振動の回数や、かかる力、温度など、製品が置かれるさまざまな環境を設定し、製品にかかる影響を見ていきます。
たとえば、何回同じ動作をすると壊れてしまうのかなどのテストをするのに使われます。すべてをコンピューター上で行うため、実際の製品がない状態でも検証を行えるのが特徴です。
CAE解析の種類
CAE解析にはいくつかの種類があり、各々用途が異なります。
ここではさまざまなCAE解析の種類について説明します。
応力解析
応力解析は、製品に力が加わった際にどのような影響が出るのかを解析する技術です。
製品がどのくらいの応力を持っているのか、どの程度の力で変形するのかなどを見ていきます。
製品の耐久性のチェックは、この世の多くの製品において欠かすことのできないもので、CAE解析の中でも最も基本的で重要な種類の解析分野だといえるでしょう。
振動解析
振動解析は、製品を振動させた場合にどのような影響が出るのかを解析する技術です。
振動によってどのくらいの力が発生するのかを見ながら、耐久性をチェックします。
たとえば自動車など、使用時に振動が加わり続けるような製品を作る場合に、特に大切な解析分野だといえます。
熱伝導解析
熱伝導解析は、製品にかかる熱伝導の具合を調べ、安全に使用できる温度が何度までかを解析するものです。
特にエンジンやモーターなど、熱が発生する製品を作る際に重要な解析分野です。
流体解析
流体解析は、空気や熱などが製品に与える細かい影響を解析する技術です。
流体力学の解法を用いながら、コンピューター上でシミュレーションを重ねて解析を行います。
CAE解析の需要
昨今、製造業をはじめ、さまざまな業界でDXが加速しています。
その結果、解析に使うデータを簡単に取れるようになり、製品設計の精度の向上がさらに求められています。
また、消費者ニーズが多様化するこの時代、多くのメーカーが製造する製品の種類を増やしています。
製品の検証もより効率的に行わなくては業務が停滞してしまうため、効率的に検証を進められるCAE解析の技術がこれまで以上に求められているのです。
CAE解析エンジニアの需要は年々高まっているものの、技術を身につけるのは簡単なことではありません。
そのため市場のニーズに対して、エンジニアの数が少ない現状があります。
この状況は今後も続くと思われるため、CAE解析を身につければさまざまな現場で求められる人材になれるでしょう。
CAE解析のメリット・デメリット
ここからは、CAE解析のメリットとデメリットを見ていきます。
CAE解析のメリット
まずは、メリットを3つ紹介します。
時間・コストを削減
CAE解析を使えば、製品の検証にかかる時間を大幅に短縮することができます。
従来の製品検証では、仕様書を作ってから試作品を作って、それからテストをするのが一般的でした。
しかし、CAE解析を使用することでそれらの時間を大幅にカットすることが可能となります。
さらに、試作機を作るための費用や人件費がかからないのも大きなメリットです。
品質の向上
CAE解析を使えば、コンピューター上でさまざまな環境の再現ができます。
実際に作るのが難しい環境であっても再現可能なため、あらゆる環境下でシミュレーションを行うことができるのは、大きなメリットでしょう。
従来よりも多様な角度から製品の状態をチェックできるため、品質を徹底的に追求することができます。
さまざまな環境で実験できる
実験環境を整えて検証を行う場合は、それだけでも大きなコストがかかります。
CAE解析では、コンピューター上であらゆるシミュレーションができるため、実際のモノを用意せずとも検証が可能です。
再現するのが難しい特殊な環境も、コンピューター上であれば可能であるため、検証の幅が大きく広がることに加えて、環境構築のコストをカットできる点もメリットでしょう。
CAE解析のデメリット
転職の際にはメリットだけではなくデメリットを踏まえた上で検討するようにしましょう。
ここではCAE解析のデメリットを2点紹介します。
求められるハードルが高い
CAE解析を使う場合は、解析ソフトを使用します。
しかしその使用方法は複雑で、技術を身につけることが難しいというデメリットがあります。
さらに、企業にとっては解析ソフトを導入するにあたってコストや、運用するための専門的な知識を持つ人材が必要になります。
解析ソフトの技術を習得していても、企業は専門的な知識も有している人材を採用しなければならないため、求職者にとっても企業にとってもハードルが高く、エンジニアの数が少ないという現実があります。
実際の結果と異なる場合がある
CAE解析は、精度は高くてもあくまでコンピューター上のシミュレーションであるため実際に実験をした場合の結果と、シミュレーションの結果に、ズレが生じることがあります。
そのためCAE解析だけで検証を完結させることはできません。検証の際は、実際の製品を使った実験も行う技術を必要とします。
CAE解析エンジニアになるには
今後、ますます需要が高まると予想されるCAE解析エンジニアですが、目指す場合はどのようなスキルを身につけるのがよいのでしょうか。
ここからは転職を検討している方が身につけたいスキルを紹介していきます。
工学に関する知識を得る
CAE解析エンジニアになりたい場合、工学に関する知識を身につける必要があります。
機械工学だけでなく、数学や物理学など、幅広い学問を身につけていきましょう。
また、材料力学の知識も重要です。
材料力学を身につけていると、物体に負荷がかかった際の力の変化や形状の変化を把握できるようになります。
実際に技術者が計算をして判断するというケースも多いため、大学卒業レベルの高度な知識を身につけておくことが理想的です。
有限要素法に関する知識を得る
有限要素法とは、数値解析の手法です。
製品を、メッシュと呼ばれる三角形などの図形に分割して解析を行います。
大学卒業レベルの専門的な数値計算の手法ですが、コンピューター上で解析をする際には必要な知識のため、まだ習得していなければ独学で勉強して身につけておくといいでしょう。
計算力学技術者資格認定（CAE技術者）を取得する
計算力学技術者資格認定とは、製品の開発や解析を高いレベルで実現できる能力を保証する認定資格です。
取得すれば、製品の性能や安全を実現させられる人材であると評価され、多くの現場において高度な技術を持ったCAE技術者として重宝されるようになるでしょう。
CAE解析エンジニアへの転職ならエンジニアコネクト
CAE解析エンジニアは現代の製造業においてコスト削減や開発期間短縮を実現するだけでなく、品質向上や企業全体の信頼獲得にも貢献しています。
需要が高まる一方で、CAE解析エンジニアへの道のりは険しいです。
しかし、自身の持つ資格やこれまでの経験から培ってきたスキルを活かすことでCAE解析エンジニアとして活躍することができるでしょう。
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